ハッピーバースデーdearニーゼン山「サプライズは苦手だニー´◇`」

びじゅチューン!

 

こんにちは!

 

私は毎週、Eテレの「びじゅチューン!」を観ています。

 

アーティストの井上涼さんが、独自の視点からオリジナルの歌とアニメで世界的に有名な美術作品を紹介していくという番組です。

 

今回私が取り上げるのは、「ハッピーバースデーdearニーゼン山」。

 

この可愛らしい歌とアニメ、世界観がすっごく好きなので、モデルとなった「ニーゼン山」や、作者のパウル・クレーについて調べてみました。

 

すると、ハッピーバースデーdearニーゼン山の歌詞の意味が少し解読できたような気がしたので、まとめたいと思います!

 

 

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ハッピーバースデーdearニーゼン山のストーリー

今回のアニメは、「ハッピーバースデーdearニーゼン山」。

 

ニーゼン山という、山のような大きな鳥が60歳の誕生日を迎えるという事で「シカクイ族」の皆さんが、ニーゼン山が寝ている間にサプライズ誕生日パーティーの準備をしています。

 

 

シカクイ族とニーゼン山は昔から共存関係にあり、ニーゼン山の羽根をもらう代わりに、シカクイ族はニーゼン山の体をお掃除してきました。

 

 

そんなニーゼン山の誕生日なので、シカクイ族の皆さんの力の入れっぷりも本気です。

 

シカクイ族のみなさんもカラフルで華やかなドレスに身を包み、髪もきっちり四角くセットしてサプライズに臨みます。

 

 

しかし準備の途中で、かつてニーゼン山が「サプライズは苦手だ二ー」と言っていた事を思い出すシカクイ族。

 

でもきっと、困った顔をしつつも、喜んでくれるはず。

 

 

ここは私たちの“ワクワク”を優先しちゃいましょう!というわけで、シカクイ族はサプライズパーティーを続行します。

 

 

パーティーのために用意したたくさんの料理や食器類を運んでいるうちに、だんだんと足元から明るくなっていき、朝が近づいてきます。

 

 

準備を終えて全員がニーゼン山の前に揃い、ハッピーバースデーの歌を歌います。

 

やがて朝日の光とシカクイ族の歌で目を覚ましたニーゼン山は、眉尻を下げて少し困ったような表情をしつつも、とても嬉しそうに微笑みました^^

 

井上涼氏による解説

 

今回、井上さんが取り上げた作品は、パウル・クレーの「ニーゼン山」。

 

 

著作権の関係で絵は掲載できませんが、井上さんはこの絵を見ているうちに、山の手前に描かれた色とりどりの四角い模様がだんだんと人のように見えてきたんだそう。

 

 

カラフルな四角い服を着て、四角い髪型をした人たちが遠くの山を見ているような。

 

 

そして、絵の中に描かれた二つの太陽が目のように見え、そうなるとその下にあるニーゼン山が鳥のクチバシのように見え、大きな鳥が寝ているように見えてきたんだそう。

 

 

目が覚めたら、目の前でサプライズパーティー。

 

 

サプライズパーティーと言えば、誕生日!

 

ケーキや、豪華な朝食の数々…二度寝が許されない空気。

 

 

と、井上さんは感じたそうです。

私なりの考察

 

子供たちにとっても親しみやすいアニメーションと歌だと思いますが、それ以上にいい大人の私でさえも、妙に胸を打たれた今回のびじゅチューン。

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仕事で疲れ切った心をじんわりと癒してくれて、観終わった後に心がほっこりするような。

 

 

最後にニーゼン山が浮かべる、困りながら喜ぶ表情は、観ているこちらまで一緒ににっこり微笑んでしまうくらいです。

 

 

いつも右下に歌詞カードを持つアシスタント的な存在が描かれていますが、今回のアニメでのアシスタント、おそらくあれはパウル・クレーですね。笑

 

いかつい濃ゆい顔とM字ハゲが本人に酷似しています。

 

 

それはさておき、今回の歌で私が気になったのは、「還暦」「誕生日パーティー」という言葉。

 

「ニーゼン山」という絵から、大きな鳥とそれを見つめる人々を想像した井上さんは
どうしてこの2つのキーワードを持ってきたのでしょうか?

 

 

また、パウル・クレーという画家を取り上げるのならば、他にも有名な絵画はたくさんあったはず。

 

それなのに、失礼ながらクレーの作品としては世界的にそこまで注目されているわけではない「ニーゼン山」を番組で取り上げたのは、どうしてなのでしょうか?
 

パウル・クレーという画家は、芸術の世界では有名な「バウハウス」という20世紀に設立された美術学校で、教鞭をとったくらいに実力を認められた画家であり、美術理論家でした。

 

 

バウハウスはドイツの学校ですが、パウル・クレー自身はスイス出身。

 

 

ニーゼン山もスイスにあり、クレーが幼いころから眺めて育った景色の中にニーゼン山はいつも存在していました。

 

 

クレーは音楽一家の家庭に生まれ、クレー自身も幼少時代からバイオリンに親しみ、11歳の時には地元のオーケストラに籍を置くほどの腕前でした。

 

 

しかし、クレーは音楽の道は選ばず絵の道を選び、ドイツの美術学校に入学します。

 

 

そこでのクレーは、描画の成績は良かった一方で色彩の成績は芳しくなく、また学校の画一的な教育がクレーの性格に合わなかったこともあり、1年で学校を辞めてしまいます。

 

 

その後クレーはしばらくの間売れない画家でしたが、世界の有名な絵画や建築を見て回ったり、銅版画やガラス絵を試みたり、様々な芸術に触れながら独自の道を模索します。

 

 

そして1914年に北アフリカのチュニジアを訪れ、そこでクレーはチュニジアの太陽の光や豊かな色彩に溢れる町並みや自然に感銘を受け、画家としてのブレイクスルーを果たします。

 

 

それまではどちらかといえばモノトーンで、何が描かれてあるのかがわかりやすい作風だったのがガラリと変わり、子供の絵本のようにカラフルで抽象的になりました。

 

 

「ニーゼン山」は、まさにチュニジア旅行の翌年に描かれた作品。

 

 

クレーが幼いころから親しんできたニーゼン山が、チュニジア旅行から帰ってきたクレーの目に再び映った時、自分の中に起きたブレイクスルーをクレー自身が体感するのに最もわかりやすい対象となったのではないでしょうか。

 

 

「ニーゼン山」という作品はまさしく、パウル・クレーが新しく生まれ変わった瞬間の象徴。

 

 

つまり、パウル・クレーのもう一つの誕生日

 

 

チュニジア旅行の翌年に描かれた作品は他にもありますが、その中であえて「ニーゼン山」を井上さんが取り上げ、「誕生日」というキーワードと結び付けた理由は、こういう事だったのかなぁ?

 

と私は勝手に解釈しております^^笑

 

 

「還暦」については、単純ですがパウル・クレーが60歳で亡くなったのでその事を言っているのかなぁと考えています。

 

最後に

 

パウル・クレーのブレイクスルー後の作風は抽象的にはなったものの、「ニーゼン山」を見ればわかるように、ある程度現実味が残された作風となっています。

 

 

「ニーゼン山」、本当に子供の絵本の1ページのように、カラフルで優しいタッチですね。

 

 

「ニーゼン山」は、実在する山ですが絵の中では空に星と月、そして太陽が同時に存在していて、しかも太陽は2つもあります。

 

 

そしてニーゼン山のふもとに描かれたカラフルなたくさんの四角。

 

 

絵の中は昼と夜が同時に存在しているようなので、昼の街並みにも見えるし、夜の街並みにも見えるし、豊かな自然を表現しているようにも見えるし、、、

 

 

まさに観る人の想像を掻き立てられる作品ですね。

 

 

あなたにはこの「ニーゼン山」、どう見えますか?

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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