委員長はヴィーナスbyびじゅチューン!~貝殻登校は校則違反~

びじゅチューン!


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こんにちは!

毎度おなじみのEテレ「びじゅチューン!」を独自に解読するお時間です^^

今回、解読を試みる作品は「委員長はヴィーナス」。

モデルとなった作品は、ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」です。

「美の化身」とか「美の象徴」と言われるこの作品。

足まで届く長い髪と大胆なヌードの描写が印象的で有名なので
きっとみなさんも一度は目にしたことがある作品なのではないでしょうか。

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「委員長はヴィーナス」と「ヴィーナスの誕生」のリンクしているところは?

井上氏の解説によれば
このアニメは、ヴィーナスの隣の席にいる
クラスメイトの気持ちになって作ったそうです。

モデルとなった作品「ビーナスの誕生」を見たとき

「ビーナスは、貝殻に乗ってどこへ行くのだろう?
学校なのかな?美人で物憂げな少女…まぁクラス委員長なのかな。」と思い、
学校でのヴィーナスを取り巻く環境を描いたんだとか。

花びらが舞っていたり、ヴィーナスの髪がそよいでいたり
この絵からは常に心地よい風を感じますね、とも。

舞台は、ボッティチェリ高校。

名前が「?!」となりますが、これは「ヴィーナスの誕生」の作者である
「サンドロ・ボッティチェリ」の名前から来ていますね、どう考えても。

このボッティチェリ系列の学校は
後々のびじゅチューンアニメでもたびたび登場するようになります。

たとえば、縄文土器先生が働く学校も
「ボッティチェリ高校附属中学校」という名前です^^

歌詞カードは、お花。
歌詞が変わるタイミングでツボミが開花して歌詞が出てくる仕様になっています。
細かいところまで作品の世界観を反映されていますね!

ヴィーナス委員長は校則違反を犯しつつ、貝殻登校しますw
「か~いが~ら~当校は~こ~うそくいはん~(ダメダメ!)」のシーンで
背景の学校の3階あたりにムンクの叫びらしき人影がありますね…笑

「ヴィーナスの誕生」でも舞っている花と同じような花が舞っています。
なんだか春を思わせますね^^

「ゼピュロスの風に運ばれ今日も登校してきた特待生」という歌詞について
実はこの作品、タイトルは「ヴィーナスの誕生」となっていますが
この絵はヴィーナスが誕生した瞬間を描いたのではないのです。

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実はヴィーナスは絵のような浅瀬の波打ち際ではなくて
もっと大海原のど真ん中で泡の中から大人の女性の姿で誕生しました。

しかし、そのヴィーナス出生の経緯が少々複雑なもので(詳しくはググってね☆)
その事情を哀れに思った西風の神・ゼピュロスが
春をもたらす強い西風を吹かせて、ヴィーナスをキプロス島の岸まで運び
ヴィーナスがまさに岸辺に辿り着いた瞬間を描いているんだそうです。

なので「ヴィーナスの誕生」というよりは
「上陸」「到着」などが正しいのでは…という意見がネット上で見られましたw

「フローラが上着を届けに来た日」のシーンで
フローラが持っているのは三本ラインのジャージのように見えますねw

本家の作品でも、向かって右側に
全裸のヴィーナスに外套(マント)をかけようと近寄る女性の姿が描かれています。

ただ、この女性はどうも「フローラ」より「ホーラ」説が有力のようです。

ホーラとは、ギリシャ神話でヴィーナスに使える3人のニンフという妖精の一人で
季節の神と言われています。

ホーラが来ている服にはヤグルマギクが、外套にはヒナギクが描かれています。

主にゼピュロスの周辺にたくさん舞っている花は、桜草と言われています。

このように春を象徴する花が舞っていたり華やかなドレスに刺繍されていたりと
全体的に「誕生」という名にふさわしい雰囲気ですよね!(正確には上陸…)

上の空のヴィーナスのノートに書かれた落書きには
「ほんとは制服なんて着たくないの
ハダカでいたいのよ生まれたままの!」とあります。

Eテレのアニメにしては大胆な発言でございますが…
本家のヴィーナスは一糸まとわぬ姿で描かれていますしね。

このノート、よーーーく見てみると、見開きの右上にも何やら書かれています。

読み取れる範囲では
「私は作品を作りたいだけ%*$(最後が読めない)」と書いてあるような…

これはもしかして、この時点ではまだ会社勤めをしていたという
井上氏の心の声なのでしょうか…?

そう考えると最後の「願望は制服の中で眠れ」は
井上氏が自身の願望と現実の狭間での苦悩を密かに秘め続けている事を
暗に示しているようにも思えてなんとも切なくなりますね…
(多分私の考えすぎですけど)

ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」についての裏話

描かれているヴィーナスの体には不自然な点がいくつかあります。

首の長さや左腕の長さがちょっとおかしかったり、異常になで肩だったり、、、
ヴィーナスの表情も、右側と左側では微妙に違っています。

そしてヴィーナスの体が全体的に右に向かってしなっているようにも見えます。

これらはゼピュロスの風の強さを表現するために
わざとこのように描かれたと言われています。

ヴィーナスの髪や、右側にいるホーラの衣服や手に持つ外套も
強く吹く西風にはたはたとなびいている様子がよくわかります。
躍動感がすごいですよね。

細かく見れば不自然に感じてしまうヴィーナスの体も、
全体を見れば不自然さはまったく感じさせないのもまた、
ボッティチェリ氏の技術の高さなのでしょう。

ボッティチェリが描いたヴィーナスにはモデルとなった実在の人物がいたようで
その名はシモネッタ・ヴェスプッチ。

当時フィレンツェで絶世の美女として有名だったそうです。

シモネッタはジェノヴァの貴族の娘で、
15歳の時に親の決めた政略結婚により
フィレンツェの銀行家の元へ嫁いできたそうです。

こちらもシモネッタの家系の遠縁にあたる有力な一族だったとか。

しかしシモネッタは肺結核により23歳という若さで亡くなってしまいます。

「ヴィーナスの誕生」は、シモネッタが亡くなって9年後に描かれました。

その当時、ヨーロッパはキリスト教が強い力を持ち支配的であった時代から
古代のギリシャやローマ時代の芸術文化を再生しつつ新しい文化を生み出そうという
動きが盛んになっていく時代でした。

それまでの時代における絵画は、
キリスト教に関連するものが望ましいとされてきていたのを
ボッティチェリは当時の有力者の庇護のもとで、キリスト教とは無関係の
「ヴィーナスの誕生」を描いたのです。

「上陸」ではなく「誕生」という名前がついたのは
「新たな時代の誕生」という当時の時代背景が影響しているのかもしれませんね^^

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