仕事関係や里帰りの際に実家のお仏壇に手を合わせたり、
お盆や法事でお墓参りの際にお線香をあげる機会があるかと思います。
なぜ、仏前にはお線香をあげるのでしょうか?
そして、何本あげるのが正解なのでしょうか?
今回は、そういったお線香に関する知識や作法を解説していきます。
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目次
1.お線香の起源
聖徳太子の時代、推古天皇3年(595年)に淡路島に香木「沈香(じんこう)」が漂着したのがはじまりとされています。
それから仏事や神事に使われるようになりましたが、現在のような棒状の線香の形になったのは江戸時代の初め頃からだといわれています。
2.お線香をあげる意味
・仏様の食べ物
仏教の教えでは、亡くなった日から7週間(四十九日間)はこの世とあの世をさまよっているとされています。
この期間は、死から新しい生へと生まれ変わる準備をしているのです。
その後、極楽浄土に送り届けられる(浄土真宗をのぞく)とされているのですが、それまでの間、仏様はお線香の香りを食物とするのです。
・自分自身の身を清める
十一世紀の北宋の詩人・黄庭堅(こうていけん)による「香の十徳」によれば、
香には「心身を清浄にし、穢(けが)れや汚れを除く」ことが出来るそうです。
・仏様と自分をつなげるもの
仏様の食事や身を清めるといった意味合いもありますが、
なによりも、よい香りで心を落ち着けて仏様と向き合うことに大きな意味があります。
3.お線香のお作法
・宗派によるが、3本が一般的
繰り返しになりますが、お線香をお供えすることは、香煙を通じて仏様とお話する事などと言われております。
仏前での御焼香は仏・法・僧(仏…お釈迦さま、法…仏の教えを説いた教 典、僧…仏も教えを広めるお坊さん)への帰依を意味して3回行うと言われていますから、
宗派によってちがいはありますが、お線香も仏・法・僧にならい3本立てるのが一般的と言えるでしょう。
・火は手で風を送って消す
ろうそくなどからお線香に火をもらった後は、片方の手でお線香を持ち、もう片方の手で風を送って火を消します。
あるいはお線香をそのまままっすぐ下にスッと下ろして火を消しましょう。
口で息を吹きかけて消してはいけません。
その理由は、お線香は仏様の食物という観念から仏教における線香というのは非常に神聖なものと考えられている一方で、
人間の口は生きていくためとはいえ、この世のありとあらゆる様々な命をその口から食べる事から汚らわしいものだと考えられているのです。
そのため、神聖な線香の火を汚らわしい口から出た息で消すのは無作法、ということになるのです。
また、現実的な問題として、口で息を吹きかけるとお線香の灰が飛散し、お掃除する人の迷惑にもなるからという事情もあるようです。
おまけ1~お線香とお焼香の違い~
お焼香とお線香、まずどちらにも共通して言えるのは、「香りのお供え」ということです。
このことを「供香(ぐこう)」と言います。
お焼香は、皆さんもご法事や葬儀などに参列したとき一度は経験があるかと思いますが、
法要や儀式などで仏前において炭の入った香炉に、お香を粉末状にした抹香(まっこう)というもので供香することを「焼香」と呼びます。
お線香は、ここまで読んでくださった皆さんなら説明するまでもないかもしれませんが、
日常でお墓参りやお仏壇への礼拝などでよくお供えになる濃い緑色や紫色の棒状になったお香のことですね。
抹香と線香という形の違いはありますが、どちらも供香という作法であり、違いがあるというわけではありません。
大切なことは、既にお伝えしましたが、なぜお香を焚くのかというその根本を知ることです。
おまけ2~お線香と蚊取り線香の違い~
一番の違いは、蚊を殺す殺虫成分が入っているか否かです。
この殺虫成分が線香の煙と共に空中に広がることで蚊を殺すことが出来ます。
蚊は煙そのものが苦手なため、殺虫成分が入っていないただの煙でも蚊を一時的に追い払う事は可能なのですが、
殺すことは出来ないのでその場しのぎにしかなりません。
ちなみに蚊取り線香の有効成分であるピレスロイドは人間などの温血動物にはほとんど害がないと言われており、
人間を含めた哺乳類や鳥類では体内の酵素によってピレスロイドは分解・排出されるために安全性が高いと言われています。
以上、お線香に関する知識や作法などをご紹介しました。
日本に住んでいる以上、避けて通るのは難しいお線香ですが、うっかり忘れてしまいそうな作法でも、
お線香そのものの意味や作法の意味それぞれ一つずつをちゃんと理解出来れば、忘れる事もなさそうですね。
この記事が読んでくださる皆様の役に立つ事を願っています。
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